◆「アスペルガーに生まれて～苦闘する子どもたちの世界」ＡＢＣテレビ＝2009年5月30日放送
◇得られぬ居場所
外見から判断がつきにくく、周囲からの無理解にさらされやすい発達障害。いじめや社会での挫折経験が重なり、うつ病などの「二次障害」に苦しむことも少なくない。
６歳の時、発達障害の一つ、アスペルガー障害と診断された大阪府の小学６年、深谷健太さん（１１）。先天的に脳機能に偏りがあるといい、他人と上手にかかわれないのが特徴。小学校に通うが、学習障害も併せ持つため記憶が持続しない。泣きながら覚えてもテストになると忘れる日々。追いつめられた彼は、強迫性障害とチック症を発症。さらにいじめが追い打ちをかける。彼は地元の学校へ通うのを断念、福井県の山間にある私立学校へと転校する。
他の親子や、同じ障害を持つ高校生や社会人にも取材を重ね、体験に広がりを持たせている。普通学校では十分な支援が望めず、特別支援学校（旧・養護学校）は飽和状態だ。居場所を得られず「浮遊する子どもたち」の苦境が描き出される。制作した西村美智子ディレクターは「まずは障害について知り、態勢の不備で『等しく教育を受ける権利』が保障されていない人たちの現実を見てほしい。健太君の例は珍しいことではない」と語る。
